新型コロナ対策下新常態を探る、飲食店オーナーの緊急提言

おうちでレストラン・ポスター

緊急事態宣言の解除について次のような発表があった。

「コロナの時代の新たな日常(新常態)を取り戻す。今日はその本格的なスタートの日だ。業界ごとに感染予防のガイドラインを策定した。解除地域を中心に事業者にはガイドラインを参考に事業活動を本格化してほしい。」

このガイドラインによって本来の飲食店の営業活動は完全に遠のいた。今後どうやって生き残るか、緊急事態宣言が全面解除されたが、コロナ対策はそのまま残る。

ガイドラインや状況を考えても、従来のような日常に戻ることはなく、我々飲食業界も大きく変化せざるを得ない状況に追い込まれている。政府も提唱している持ち帰りや出前、デリバリーに活路を見出すしか道はなくなっているように思われる。

以下、現役の飲食店オーナーでもある私の考えていることと、店の取り組みを記事にしましたので、何かの参考になればと思います。

目次

新たな日常、この先の新常態に対してどう生き残るか

当店がここまでやってきたこと

私が経営する飲食店のこれまでをお話しすると、3月末までは正常であり普通の状態でした。しかし、4月初旬に知事のコロナ感染対策として自粛要請の宣言があって以来、客足が一気にダウン、やがて売上0円の日が続くような事態になりました。

これはまずいと言う事で、急きょテイクアウトメニュー導入を決心、すぐに準備をして始めました。すぐに売れるとは思いませんでしたが、何もしないよりはまし、何か手を打たなければという必死の気持ちです。

それが4月後半よりテイクアウトの売り上げが伸び始め、やがて5月連休には思わぬヒットに繋がりました。

従来の売り上げにはおよびませんが、運転資金ぐらいのつなぎにはなりました。緊急事態宣言が解除された、今現在の時点では店内営業も再開していますので、両方合わせた売り上げと借り入れた資金で当面はしのげる体制にはなっています。

緊急事態宣言解除この先を考える

今回発表された事業者向けガイドラインの一部を紹介します。

「新しい生活様式」の実践例から【食事の場合】

  • 持ち帰りや出前、デリバリーも利用しよう
  • 屋外空間で気持ちよく食事しよう
  • 大皿は避けて、料理は個々にしよう
  • 対面ではなく横並びで座って食事しよう
  • 料理に集中して、おしゃべりは控えめに食事しよう
  • お酌、グラスやお猪口の回し飲みは避けて飲もう

このガイドラインを見てもわかる通り、特に「対面ではなく横並びで座って食事しよう」とか「料理に集中して、おしゃべりは控えめに食事しよう」などはお客様の外食する目的にまったくそぐわないものです。

また店側の考えである、対面で楽しくおしゃべりをしながらおいしい食事をして頂こうというコンセプトにも全く合わず、これでは全国の飲食店施設のどれもが本来の営業に戻る事は不可能であり、このままではもう経営が成り立たないと言う事は明らかです。

大きく舵を切り営業方針を変えない限り、いずれ行き詰まる事は必須です。

以下、私が現在考えて実行している事を緊急提案です。

二本立て営業決定

 以上の説明の通りですから、私の店では今後はテイクアウトと店内営業の二本立てスタイルで、営業していく事に方針を変えました。

私の店はこれまでも10年ごとに同一業種で業態を変えながら営業を続けてきていますが、今現在の店はまったく異業種の飲食店に切り替えたもので6年目の営業になります。

この業種でははじめてのテイクアウト営業です。すんなり抵抗なくテイクアウト営業を導入できたのは、この店の以前の業種ではテイクアウト売り上げが4割もあるような店だったため、そのノウハウの経験と実績があったからです。

しかし今の店「フレンチ洋食店」でのテイクアウト商品が売れるとは全く思っていませんでした。

その理由は、日常的に利用されるテイクアウト商品というと、私の考えではコンビニ弁当のイメージが強く、まず価格的に勝負にならないと思っていたのです。

以前の店で営業していたテイクアウト商品は、その価格帯で提供できる商品でしたので問題なかったのですが、今の店で提供するにはどうしても価格を安くは提供できません。

それで、テイクアウト商品をどうしようかと考えた時に、今現在ヒットしているランチメニュー1580円で提供しているものを、3個の容器を使ってそっくりそのままパッケージしたものを思い切って1000円で販売しようと決め、そのほかのメニュも加えて3種類均一価格で提供したのです。

それが思わぬヒットに繋がったのです。

テイクアウトメニュー開発の考え方

 しかし、お客様の反応や意見、または直接のお客様との会話において、なぜ当店のテイクアウト商品がヒットしたのかが徐々わかってきて、今では自信を持って販売できるようになりました。

お客様の意見の中で代表的なものを紹介しますと「レストランの本物の味わいが他にない」「安くその店の料理が味わえる」「今までの弁当には飽きた」等々です。

そういう訳で、お客様のニーズはいろいろあると言う事です。気が付けば当たり前なのですが、過去にたくさんの商品開発の失敗を繰り返してきたものですから、すっかり考え方の柔軟性が失われてしまったのかもしれません。

しかし、これは新型コロナ対策緊急事態宣言下における異常事態での一過性の現象という見方も捨ててはいません。

それでも今後の結果を見極めながら、今回お客様から頂いたご意見は、今後の新常態下でのテイクアウト商品の開発の参考として、活かしていくつもりです。

そして、今回のテイクアウトメニューで収穫だったのは、当店にとっては新規のお客様を、新しい客層で開拓、獲得できたと言う事です。

その理由は当店のランチタイムの客単価は2000円、ディナーの客単価が3000円~5000円だったため、テイクアウトメニュー1000円というのは大衆層と言う事で、当店にとっては新しい客層の開拓につながっているです。

あらゆるSNSに投稿

しかし、どんな物でも突然始めていきなり売れるはずがなく、広く広報活動をしなければなりません。

私の店もご多分に漏れず、インターネットをフル活用で広報活動をしています。

具体的には店のフェイスブック、個人のフェイスブック、インスタグラム、契約しているポータルサイト二社の食べログとヒトサラ、そして今回この非常時に飲食業界人が立ち上げた頑張ろうサイト、そして県が民間に委託して立ち上げた「おうちでレストラン」サイトそれぞれへの登録など、あるものはすべて利用するという感じです。

この中の県が管理しているサイトはかなり有力でした。というのもお食事券2500万円分配布キャンペーンなどで盛んにテレビCMを流してくれたので、当店のテイクアウト知名度にかなり効果がありました。

ま、これは運が良かったと言う事ですね。

予約ツールの活用

 私の店は先ほど説明した、ポータルサイト二社と契約していますが、その二社の予約ツールが使える契約内容になっています。この予約ツールがとても良く有効に働くので紹介しておきます。

当店では席だけの予約は受け付けておらず、コース予約のみでの受付になっています。この予約システムの何が良いかと言う事ですが、こちらの考えで自由に予約受付卓数や人数の設定が出来るのです。さらに予約受付時間も設定できます。

これにより店側の都合で、完全にお客様の入店人数を、制限コントロールできます。

今の時期やはり過密は避けなければなりません。ですからディナーは完全予約制にしてしまえば良い訳で、これはかなり有効な手段に思います。

外食チェーン店の動向

ググって調べてみると、外食業全体で見てやはり3月4月と売上が減収、あたりまえの話ですが、しかし注目すべきは日本マクドナルドです。調べたデータによると1~3月の既存店の売り上げが5%増し、4月が7%増しになっています。

売り上げの6割を持ち帰りと宅配が占めるとされ、店内飲食に依存しない営業スタイルをとっているためで、持ち帰り、宅配が圧倒的に有利ですね。

こういう実績からも、今後の新常態下での目指すべき方向性はあきらかで、苦境の外食業各社とも持ち帰りや宅配、さらには通販事業の強化を急いでいます。

店内営業が中心の飲食店は、「新しい生活様式のガイドライン」でも明らかなように、店舗以外の収益の下支えが絶対必要で、この動きが加速するのは必須と思われます。

まとめ

コロナ時代の外食業界の中での勝ち組、負け組の実績や全体の動きを見ても明らかです。

今後の新たな日常、この先の新常態の生活様式の中で、飲食店が生き残るためには、従来の営業スタイルだけではだめで、第二の収益の柱を考えなければならないと言う事です。

その方法はテイクアウト営業が有効であり、そのメニュー開発は差別化を訴求できるオリジナリティを第一に考えて進めるのが大事です。

そして、それが構築できたら広く知らしめる事が必要で、SNSが有効な手段として考えられると言うことです。

補足

政府が「コロナの時代の新たな日常と言って、それに伴うガイドライン」まで示している以上、いつ収束するかという考え方はだめです。

この状態が緩和されたとしても、それが新常態として定着してしまう可能性も、無きにしも非ずと考えて、今後の飲食店の在り方の方針を考えた方が無難に思われます。

以上、今後のご健闘を祈ります。

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