小さい飲食店が生き残りの訳?損益分岐点の秘密を全公開!!

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店舗兼住宅

私の店舗は市街地に立地しています。この地で、もうやがて40年近く飲食店を経営してきましたが、他に生き残り存続している飲食店は皆無とは言いませんが、私の生活行動範囲以内ではほとんど見かけません。ただし、唯一近所に一店舗存在します。(以下、この近所の店舗をT店と表記します)

そしてそのT店と当店の経営基盤がよく似ており、さらに今までおこなってきた戦略的な内容も似ていて、この二つの店舗に共通する損益分岐点が低いと言うところが存続してきた秘密だと思われます。

第三者的な立場からすれば詳しく内情を知る由もないですから、秘密と言えなくもないので、タイトルはちょっと大層ですが「秘密を全公開」としました。

これから、飲食店を開業しようと考えている方の、またはそうでなくても飲食店経営の損益分岐点の考え方の参考になるように解説しますので、最後まで読み進めてください。

私の店舗の地域環境

40年近くの飲食店経営の実践経験からも言えることなのですが、本当にこの業界は新陳代謝が激しく、生き残りが過酷な世界です。毎年新しい店舗が次々と開店し、その傍ら次々と既存の店舗が閉店していきます。

潰れた店のオーナーのその後が気になりますが、無情にも何事も無かったかのように時間は過ぎて忘れ去られていき、そこに何があったのかも忘れてしまうぐらいです。飲食店だけではなくすべての業種で言えることですが、周りの環境変化は速く、別の店が出来てしまうと以前はどんな状態だったのか、分からなくなるぐらいです。

そして、昔は田畑があり遠くまで見渡せた場所も、すべて何らかの建築物で埋め尽くされました。それほど人口が増えている訳でもないのに、こんなにいろんな店舗が出来て、これでは完全に過当競争状態です。

私の店舗が立地するこの地域は、すべての商業施設から文化施設、さらには医療診療科目すべての開業医、総合病院、国立大学校まであり、ま、地域全体はいわゆる一等地と言えるかもですね。ですから近くには富裕層が住む区画も存在します。

そういう環境地域でどうやって生き残りを果たせたのか、秘密と言えるかどうかは分かりませんが、損益分岐点がポイントです。以下で全公開します。

絶対的に優位な経営基盤、秘密を全公開

自己所有物件

何が経営上絶対的に優位かというと、建物つまり店舗が自己所有物件なのです。すなわち自分の土地の上に、自分の独立店舗として所有しているという事なのです。

これは別の意味でも力を発揮します。それは借り入れの時の担保物件として威力を発揮できますし、金融機関に対しても信用の裏付けにもなります。これは財務上強いですね。

これについては冒頭に話したT店も同じ条件下にあります。T店の場合は私がこの地に移転してきた以前より営業していた店で、今現在は二代目の息子が後継ぎとして経営していますから、もうこの地で何年生き残り、営業しているのかはわかりません。

とにかく経営基盤は私の店舗と一緒という事です。

オーナーシェフ

そして、もう一つの強みはT店も私の店もオーナーシェフという事で他人に頼らずとも営業が出来るというところです。

私の店は子供達が独立してからは、人を雇用せず夫婦二人で営業しています。

店舗設計はそれを見越して、ワンフロアのオープンキッチン構造で死角が出来ないように、さらに作業動線が最短になるように考えてありますから、あえて客席のための人員を配置しなくても、運営できるようになっています。

どういう事かを説明しましょう。二人で営業していますが、それぞれが営業中の店舗内すべてを、どこの場所にいても把握できる構造になっていて、来店接客から調理、そしてその合間に給仕、レジ会計までの一連の作業を最短の動線でこなせるように、配置設計されています。

これが配置設計が悪く、一連の作業工程の動線設計が考えられていない店だと、無駄な動きや移動で時間がかかり、店内を走り回ることになります。これが一日中だと、とても体力が持ちません。

私の店舗建物は重量鉄骨造のため空間が自由に設計でき、備品や器具の配置そして構造を自由に設計できるので、障害物や視界を遮るものがほとんどありません。

そして、二人ですべてをこなす条件としては小さい店に限るという事でしょうね。広い店内ではとても動き回れませんし、移動に時間がかかります。そして、厨房のどの位置にいても店内のお客様の状態が、把握できないといけませんから、店内構造はやはりオープンキッチン・ワンフロア―設計が条件になりますね。

ですから私の店ではディナーはフルコースがメインの営業ですが、それも可能になっています。

お客様の食事の進み具合に応じて、次の料理の調理を進めてゆき、さらに給仕をこなさなければなりません。それも1組のお客様だけではなく、満席の場合最大5組のお客様の給仕をしなければなりませんが、二人ですべてこなせています。

一瞬たりとも各席の状況の見落としはできません。ですから、各工程の動線分析、店舗内配置設計を綿密に考えなければなりません。

私の建物は1階から3階まで全部を2年かけてスケッチブックにスケッチ、設計して、これを基に建築図面を起こしてくれるよう設計事務所に依頼しました。でないと、設計屋さんではそこまでの動線設計はできません。同じ料理でも料理人では動線が変わってきます。

一方T店は私の店とは違い、店内構造が客席と厨房が仕切られているので、どうしても客席側に人の配置が必要なようで、絶えずパート・アルバイト募集の張り紙が出ています。しかしそれでもホール担当だけの人の採用という事で、必要最短時間内だけと単純作業のためアルバイトでもよく人件費は最小限で済むと思います。

私の書いた設計・スケッチ1
私の書いた設計・スケッチ1
私の書いた設計・スケッチ2
私の書いた設計・スケッチ2

収益構造の理解

他店と比べてどれほど経営基盤が優位なのかという事を説明する前に、飲食店の収益構造を理解してください。以下の収益表で解説します。

  • 売上額・・・・・100%
  • 原価(材料費)・30%
  • 人件費・・・・・25%
  • 地代家賃・・・・10%
  • その他経費・・・25%
  • 利益・・・・・・10%

以上が収益の構造ですが、割合は大まかな平均的な数字です。各科目の解説を次に簡単に書いておきましたので、参考にして下さい。

  • 原価(材料費)・通常25%~35%業種、個人、企業により差がある
  • 人件費・・・・・通常人件費は売上額の20~30%
  • 地代家賃・・・・地代家賃は売上額の10%前後です
  • その他経費・・・水道光熱費、宣伝広告費、通信費、消耗品などその他
  • 利益・・・・・・オーナー利益10%前後(業種、事業形態により変わる)

以上を理解した上で次の項からが、秘密のポイントであり全公開を解説します。

実際の収益構造、損益分岐点が秘密のポイント

本来出資者(オーナー)は現場には立たないで、人を雇用し店舗を経営して収益を得ます。その時の収益金が収益表の利益10%となるわけです。

これが私の店の場合どうなるかというと、オーナーである私自身がシェフとして、妻がその補助として現場に立ち、夫婦二人で切り盛りしています。ですから人の雇用がいらなくなり、人件費は0%です。(子供の手伝いも含めた、家族での営業の店はすべてこうなります)

という事はオーナ利益はそれだけ増えて収益表では35%の利益になります。

さらに、店舗も自己所有物件となると、地代家賃も0%となりその分の10%も利益に上乗せになります。そうすると実に売上額の45%がオーナー利益になります。

ですから、この解説でいかに収益構造が強いかという事が理解できると思います。

普通の経営状態では利益10%(上場外食企業で8%)ですから、損益分岐点が売上額が一割減少すれば赤字になってしまいますが、私の店の場合は利益45%ですが、売り上げが減ればその他の経費も減るから、損益分岐点は約半分近くまで売上額が落ち込んでも赤字にはならないわけです。

休業しても赤字にならないという秘密の全公開

さらにもっと言うなら、休業したとしても赤字にならないのです。どういう事かというと、固定経費が無く休業しても支出する費用がないのです。(水道光熱費等の基本料金は、住居と兼用になっているため区別できません)

この休業しても赤字にならないという部分は、一般の人にはチョット理解できない事かも知れず、本当に秘密の全公開と言えるかもしれません。

店がやむを得ず休業せざるを得ない時は、アルバイトをしてしのぐことも可能な訳で、また正常化したら営業再開すれば良いだけです。

T店についても損益分岐点や収益構造は同じような事が言えると思います。

時代の流れに合わせた経営戦略

私の店舗兼住居
私の店舗兼住居

そして、つぎにあげられる特徴は、これもT店も私の店も似ているのですが、時代の流れに合わせて店舗の業態・業種を変化させてきているという事です。

私の店の場合は

  • お好み焼き専門
  • お好み焼レストラン
  • 鉄板焼ダイニングカフェ
  • フレンチ洋食

という流れで変化させてきました。

一方、T店の場合は

  • 大衆食堂
  • ファミリーレストラン
  • 蕎麦屋
  • 蕎麦屋+食堂

という流れです。

T店の店舗兼住居
T店の店舗兼住居

ここで気が付くことは両方の店でレストランの時期が重なっていますが、これはこの時期大手企業がチェーン展開するファミリーレストランが大ヒットした時期で、その流れに乗ったという結果でしょう。

でも、これはどちらの店も失敗に終わりました。しかし、この失敗の後、私の店は三階建てに建て替えて新築オープンさせましたが、その後T店も同じく三階建てに建て替え、新築オープンさせたのには驚きました。

ま、何はともあれ私の店もT店も時代の流れに負けじと頑張ってきた結果です。

最近T店は「カレーうどん」をヒットさせているようです。そして私の店では記念日のサプライズメニューをヒットさせています。お互いにあの手この手と努力しています。

専門特化型業種業態に変化

先ほど記念日のサプライズメニューをヒットさせていると書きましたがこれについて解説していきます。

このメニューの開発のきっかけはお客様から「お祝いの食事会で何かできないか」という相談を受けたことでした。

それを機にいろいろ考えているうちに、アイデアがひらめいたのです。「記念日というテーマでサプライズ演出を伴った食事会」を企画すれば年間を通じて結構需要があるし、それを主に宣伝している飲食店は他に無いから競合しない、これがヒットしたらかなり安定した売り上げが見込めると思ったのです。

そして、サプライズ演出のためにお客様からのメッセージ入りデコレーションプレートを開発しました。そして、このデコレーションプレートの写真投稿がヒットするようになったのです。

今ではこの「記念日サプライズメニュー」が当店の看板メニューでディナーでもランチでもどちらでも利用できるようになっています。

そして今現在では、夜はこの「記念日サプライズディナー」の営業にほぼ絞り込んでいます。もちろん予約での来店になります。

デコレーションプレート
デコレーションプレート

いつの時代でも重要な、知らしめるという努力

そして最後に最も大事なのがこの「知らしめる」という行為ですね。

当たり前の事で昔から言われている事ですが、どんなに優れた商品でも人々に知れ渡って初めてそれが売れ生き残り、反対に知られない限り絶対に売れず生き残り出来ません。

ここが肝心なところですから、真剣に努力してください。その方法は今の時代、やはりSNSでの定期的な情報発信が絶対的です。それと私の店の場合、ポータルサイトへの登録も効果を出しています。

お客様のポータルサイトの予約ツールの利用が多いです。真夜中に入ってくることも結構多いですから、このツールは有効です。

そして、SNS投稿は私はインスタグラムをメインにし、妻はFBの記事をメインに頑張っています。最近は妻の投稿記事に人気が出て、ヒットしています。よくお客様から「見ています」とお声掛けをいただきます。

まとめ

以上、最後のまとめは「小さい飲食店が生き残りの訳?損益分岐点の秘密を全公開!!」部分も含めて箇条書き要点でまとめます。

1、絶対的に優位な経営基盤・・・街中で長年営業している飲食店にはこの確固たる経営基盤があります。それは店舗兼住居である自己所有物件で店を構え、そして家族労働で営業運営している。この経営基盤があれば家賃と人件費合わせて3~4割経費が削減できます。この条件が生き残りのための最大の原因であり、損益分岐点の秘密を全公開と言える部分です。

2、時代の流れに合わせた経営戦略・・・今の時代は飲食店といえども環境変化が速いので、常に情報を得て自分の店も何らかの形で変化をしていかなければ生き残りは難しく、いずれ取り残されます。

3、専門特化型業種業態に変化・・・今の時代は人々の需要が多様化していて、珍しい事はSNSで拡散されやすいという環境にあります。ですから、飲食店でも都会では専門をかなり絞り込んだマニアックな店も登場しています。ま、ローカルではそこまでではなくとも、何かの特徴を絞り込んだ専門特化型の飲食店を目指した方が優位です。

4、いつの時代でも重要な、知らしめるという努力・・・今の時代は自分で情報発信できるツールがたくさんあり、それらのほとんどが無料で使えます。こんなに恵まれた環境でお客様に知らしめる努力をしないというのは、怠慢でしかありません。大いに学習して活用してアピールしましょう。

以上です、皆様のご健闘を祈ります。

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