UUUM(ウーム)株式会社の最高顧問は最高顧問と言うだけではなく更にファウンダーと言う称号まで与えられて、象徴的な役職になっています。そしてこの役職の人物はHIKAKINさんで、UUUMの顔でもあります。なぜHIKAKINさんがそのポジションなのか、詳しく調べた結果、理由がありました。
そして近年、UUUMの有力な所属YouTuberがたくさんやめる事態になっていますが、なぜやめるのか、その明確な原因が判明しました。分かりやすく解説してあります。
それと共に今後のUUUMの経営の課題も判明、この記事を読むことにより業界の構造も理解できるようになっています。
業界通の入門書として一読の価値あり、以下本文です。
UUUM(ウーム)株式会社最高顧問とは
UUUMにとって最高顧問という役職名は特別の存在意味があり、役職の中にあえて設けられたポジションです。そして最高顧問の上にさらにファインダーと言う称号まで与えています。
そうなんですね、このポジションはUUUMの生みの親、創業者と言われるヒカキンさんのために用意された役職なんです。このあたりの詳しい物語は私の別の記事「ヒカキンの事務所UUUM(ウーム)!関係とポジション、立場、役職は?」に詳しく解説してあります。
UUUMでの役職は代表取締役社長を筆頭に、2020年12月現在、次のような構成になっています。
*以下、役職名、個人名、役割まで箇条書きで書きました。
【代表取締役社長・CEO】鎌田 和樹 Kazuki Kamada・
- 【取締役・COO】梅景 匡之 Tadayuki Umekage・ / クリエイターマネジメントユニット/システムユニット/社長室 統括
- 【取締役】中尾 充宏 Mitsuhiro Nakao・ / アライアンスユニット 統括
- 【取締役・CFO】渡辺 崇 Takashi Watanabe・
- 【取締役】市川 義典 Yoshinori Ichikawa・ / クリエイターマネジメントユニット 統括
- 【取締役】山田 iaka裕介 Yusuke Yamada・ / 業務執行取締役
- 【執行役員】後藤 大輔 Daisuke Goto・ / クリエイターマネジメントユニット 統括
- 【執行役員】松山 奨 Susumu Matsuyama・ / クリエイターマネジメントユニット 統括
- 【執行役員】築比地 敬一 Keiichi Tsuihiji・ / クリエイターマネジメントユニット 統括
- 【執行役員】笠原 直人 Naoto Kasahara・ / クリエイターマネジメントユニット 統括
- 【執行役員】竹川 洋志 Hiroshi Takekawa・ / クリエイターマネジメントユニット 統括
- 【社外取締役 / 監査等委員】砂田 浩孝・長南 伸明・河島 勇太
以上、代表取締役社長・CEO以下、取締役が5名、執行役員が5名、社外取締役3名、という構成になっています。
【ファウンダー / 最高顧問】HIKAKIN
- 【顧問】鳩山 玲人 アドバイザリーボード
- 【顧問】ジェットダイスケ
- 【元気な顧問】大下 聡
- 【技術顧問】井原 正博
以上顧問は5名ですが、その中で最高顧問は役職名に加えて、ファウンダーという称号を与えられて一段と重みをもった役職名になっています。
しかもヒカキンさんの場合これに加えて上位4番目の大株主と言う現実もあり、発言した場合一段と重みのある立場を持っています。さらに現社長からは絶大な信頼を持たれており、UUUMにとっては不可欠の存在なのであり、普通の会社の顧問とは重みがかなり違います。
それから、今なおYouTube業界の中でトップクラスの地位を維持しており、運営チャンネルは4つ、以下詳細です。
【チャンネル紹介】(2021年2月現在)
- HikakinTV チャンネル登録者数 890万人
- HIKAKIN チャンネル登録者数 241万人
- HikakinGames チャンネル登録者数 502万人
- HikakinBlog チャンネル登録者数 58万人
以上、全ての登録者数を合計すると1691万人になりますが、もう圧倒的な存在ですね。
ファウンダー&顧問とは
ファウンダーとは:「創業者」「設立者」を意味する英単語で、複数で事業を始める場合は共同創業者のことをコー・ファウンダー(co-founder)と呼びます。
顧問とは:それぞれの分野の専門的な知識や経験を活かして助言を行う役職のことで、顧問は意思決定を行う権限はありません。
UUUMの【ファウンダー / 最高顧問】とは:HIKAKINさんの社内での経歴・立場上、会社全般について意見が言える役職名であると思います。
*上の画像はその当人、HIKAKINさんです。
現役のトップYouTuberという事で
社長の鎌田氏はヒカキンさんと、必ず年に何回か定期的に食事を共にしているそうで、その場で過去の会社の初期の頃のようにYouTubeのこと、今のトレンド、色んなことを意見交換しているそうです。この食事会があるから今も鎌田氏は、最新のことを理解できていると言っています。
鎌田氏が言うにはヒカキンさんと出会うまではYouTubeをまったく観たこともなく、YouTuberを知らなかったが、今現在この社長という立場にいるのは、ヒカキンさんという出会いと、存在に引っ張られてきた結果以外の何物でもないと思うと語っています。
それだけ、その存在は大きいという事ですね。
UUUMのユーチューバーなぜやめる
UUUMのYouTuberに限らず、近年UUUMを含め他のYouTuber事務所でも退所者が目立つようになっています。原因を詳しく多方面にわたり調査してみました。中には個別のトラブルによるケースも見受けられますが、大方共通の原因が見えてきました。以下解説します。
まずは、会社事務所そのものがブラックか、どうかという事から順番に説明します。
社内に問題はないのか
今回の取材では、事務所を悪く言う人や記事はほぼありませんでした。内部のYouTuberの意見もほぼ好意的です。
やめた人の中に一部批判投稿もありますが、UUUM側に言わせるとあまり悪質なら訴訟も辞さないと言っているくらいですから、本人の問題だろうと思います。
今所属しているYouTuber動画からも事務所の雰囲気は良好と言っています。たまに合わないマネージャーが付いた場合は変えてもらっていると言っているぐらいで、雰囲気は風通しの良い会社なんだなという感じです。
ですから退所していったYouTuber達の動画で円満退所を言っているのもおおむね真実だと思われます。中には引き留められるケースもあるみたいですが、割と簡単に気持ちよく退所できるみたいです。
社長鎌田氏のやめるクリエイターについての考え方
ヒカキンさんとの年頭対談で、やめるクリエイターのことについて触れていたので、その部分の言葉から紹介します。
「2020年で、うれしかったことについて聞かせてください」のインタビューに対して、社長の鎌田氏の言葉が以下です。
「嬉しいと思う時があるのは、悲しいことがあってもその反面で、嬉しいことも起きるんだよということを言いたい。たとえば、やめるクリエイターのことだけど、やめるというのは今までも常に一定数あった、でも、その分また新たに入ってきているし、その事はいいんですよ。
ただ悲しいことは、やめる事について気持ちのよくない話をして、拡散を狙う人が出てしまったということ。それでも僕たちUUUMは企業として、個々に対して反論などはせずに黙っていたんだけどね。
そうすると、その一方でポジティブな話をしてくれる人もたくさん出たんだよね。そうやって辛抱強く会話していくと、普段聞けないこともたくさん聞けたりする、そういう事が嬉しかったね」
社長の考え方と人柄が感じられる言葉でしたので、掲載しました。しかし、「やめる事について気持ちのよくない話をして拡散を狙う人が出てしまった」と言うところには驚きましたね、そんな現実があるのかとわかり、チョットやり切れない思いがしましたが、それでも忍耐で我慢できるというのに感心しました。
*上の写真は2021年1月、年頭の会談での写真です。
以上の結果からすると特にやめる原因に繋がるものはないので、次に問題となるのは個人の考え方になると思います。
ですからまずは個人の立場に立って、事務所に所属した場合のメリット、デメリットを整理したいと思います。
事務所に所属した場合の【メリット】
- マネージャーがつくなど手数料の金額よりも得る価値の方が大きい
- 多数の動画データから蓄積されたノウハウでアドバイスをもらえる
- 会社組織の方が企業案件を取りやすい
- 所属しているYouTuberと人脈を作り、コラボなどチャンスを得やすい
- グッズ・イベントなどを展開してくれる
事務所に所属した場合の【デメリット】
- チャンネルが成長して規模が大きくなると20%の手数料利率が負担になる
- 売上が、ある分岐点を超すと、20%の手数料に対しての価値を感じられなくなる
- チャンネルが成長していくと、メリットの部分が自分でできてしまう時期が来る、すると事務所が必要なくなる
【結 論】ユーチューバーなぜやめるのか
結局、大きな原因は一つでした。先ほど書きました、デメリットのところに集約されます。
要するに「チャンネルが成長して規模が大きくなると20%の手数料利率が負担になる」という事で、確かに退所していったYouTuber達のほとんどが中堅クラスの人達です。
このクラスになると20%手数料の金額でスタッフが雇えるくらい金額が大きく、しかもそれだけチャンネル規模を伸ばした実力からすると、もはや事務所からサポートしてもらう事はあまりなくなっています。
時代は変わりYouTuberの認知度も上がり、企業案件も直接取れるくらいになっていますし、税務申告も自分で税理士に頼めるという事で、もう独立して個人で事業者として何でもできてしまう背景が整ってきているということです。
ですから結論は繰り返しになりますが、事務所に所属するのは最初まだ力がない初期の頃はメリットは大きいが、チャンネルが大きく成長すると先ほど書いたメリットが無くなり、デメリットでしかないという結果に集約されるという事です。
トップクラスのユーチューバーがやめないのは
じゃなぜトップクラスの人達はやめないのかという事になりますが、これにはいろいろと事情があります。UUUMの場合は初期メンバーで構成される下部組織があるみたいで、このメンバーで結束していて会社を盛り上げているようです。
理由はやはり苦労をした初期の同志みたいなもので、上場した時には株式なども譲渡されているようです。そのことは、上場時の有価証券報告書で確認できます。こうなってくると、私の憶測ですが会社の成長が自分たちの利益につながる事にもなると考えても、不思議ではないように思うのですが。
さらにこれは私の私見になりますが、企業案件なども優遇されるだろうと思います。理由はトップクラスのYouTuber達の方が料金が高く取れるという事情を考えると、やむを得ないかなとも思います。
UUUMの今後の課題
以上の事から、UUUMのこの新しい業態であるビジネスモデルの課題が見えてきました。ただしこれは他のYouTuber事務所はそれぞれ運営の仕方が違うと思いますので、UUUMに限ったことでしか言えませんが、以下私なりの見方、考え方です。
やはり一律20%の手数料利率と言うのが、どう考えても制度的に無理があります。
例えば動画制作は各YouTuberで制作コストがかなり異なります。自室でおしゃべりがテーマの人、または企画物で自腹で資金を投入して制作する人、それらに対して一律に20%課金されると言う事がどう考えてもおかしいわけで、明らかに矛盾していると私には思えるのです。
そして企業案件にしても、創業の頃はまさか個々のYouTuberが、これほど世の認知を受けて力をつけるとは思わなかったのだろうと思います。個別にオファーがかかるようになっています。事務所を通して20%取られるくらいなら個人で営業します。
かといってもはや上場企業であり、株主がいる以上手数料利率を変えるという急激な変革はできません。手数料利率を変える方法としては、これに代わる収益源を開拓するしかないと思います。
そして、別に収益を確保した上で徐々にこの一律20%の手数料利率を階級別に変動制にするとか、または事務所との関り方によって業務委託性にするとか改革を順次進めていかないと、この先有力なyoutuberの離脱に、歯止めがかからなくなるリスクがあると思います。
業務提携
下の画像のように、昨年、吉本興行と業務提携したのもその一環の表れなのでしょう。ドンドン駒を進めていってほしいと思います。
*吉本興業とUUUMは2020年4月28日に資本業務提携を締結したことを発表。
まとめ
まとめは以下に要約できます。
「UUUM(ウーム)株式会社最高顧問とは」
- 正式には「ファウンダー / 最高顧問」となっておりHIKAKINさんためのために用意された特別の役職です。特にファウンダーと言う称号が付いているのが象徴的です。
「UUUMのユーチューバーなぜやめる」
- これは、「チャンネルが成長して規模が大きくなると20%の手数料利率が負担になる」という事が最大の原因である。
- youtuberの中堅クラス以上になると、この手数料金額で必要なスタッフを雇って個人事務所が運営できてしまうというジレンマが生じる。
- さらにその位のベテランになると事務所に所属するメリットがほとんど無くなるという事です。
以上ですが、補足としてユーチューバーがやめる原因に事務所の体質に問題はなく、所属ユーチューバーの評価は良かったという事を付け加えておきます。
補足
取材を通して感じたのは社長の鎌田さんとヒカキンさんの人柄も素晴らしいですので、是非ともこの先youtube業界の健全な育成のためにも模範的な企業に進化させて、発展貢献する事を願います。益々のご活躍を祈り、終わります。
ここまでお読みいただいた読者に感謝いたします、ありがとうございました。